【無人航空機操縦士】ドローン国家資格 教則の確認(第4回)航空法全般

【無人航空機操縦士】教則の確認

ドローン無人航空機操縦士の技能証明を受けるものは、航空機を飛行させるのに必要な法的知識が必要です。
安全な飛行ができるよう「無人航空機の飛行の安全に関する教則」令和5年4月13日第3版を読んでみることにします。
第4回は「航空法全般」です。

3.1.1 航空法に関する一般知識

(1) 航空法における無人航空機の定義
航空法において、「無人航空機」とは、
① 航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、
遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるものであり、
重量が100グラム以上のものを対象としている。

①の「構造上人が乗ることができないもの」とは、単に人が乗ることができる座席の有無を意味するものではなく、当該機器の概括的な大きさや潜在的な能力を含めた構造、性能等により判断される。
一方で、「航空機」とは、人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船を対象としているため、人が乗り組まないで操縦できる機器であっても、航空機を改造したものなど、航空機に近い構造、性能等を有している場合には、無人航空機ではなく、航空機に分類される。
このように操縦者が乗り組まないで飛行することができる装置を有する航空機を「無操縦者航空機」という。
飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船のいずれにも該当しない気球やロケットなどは航空機や無人航空機には該当しない
②は「遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの」としているため、例えば、紙飛行機など遠隔操作又は自動操縦により制御できないものは、無人航空機には該当しない
③の「重量」とは、無人航空機本体の重量及びバッテリーの重量の合計を指しており、バッテリー以外の取り外し可能な付属品の重量は含まない。なお、100グラム未満のものは、無人航空機ではなく、「模型航空機」に分類される。
重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成28年法律第9号。以下「小型無人機等飛行禁止法」という。)において規制対象となる「小型無人機」については大きさや重さにかかわらず対象となり、100グラム未満のものも含まれる

(2) 無人航空機の飛行に関する規制概要
1) 無人航空機の登録
全ての無人航空機(重量が100グラム未満のものは除く。)は、国の登録を受けたものでなければ、原則として航空の用に供することができない
登録の有効期間は3年である。また、無人航空機を識別するための登録記号を表示し、一部の例外を除きリモートID機能を備えなければならない。

2) 規制対象となる飛行の空域及び方法(特定飛行
航空法において、無人航空機の飛行において確保すべき安全は、
・ 航空機の航行の安全
・ 地上又は水上の人又は物件の安全
であり、これらに危害を及ぼすおそれがあるものとして、次に掲げる飛行の空域と方法を規制している。

a. 規制対象となる飛行の空域
<航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれのある空域>
(A) 空港等の周辺の上空の空域
(B) 消防、救助、警察業務その他の緊急用務を行うための航空機の飛行の安全を確保する必要が
ある空域
(C) 地表又は水面から150メートル以上の高さの空域

<人又は家屋の密集している地域の上空>
(D) 国勢調査の結果を受け設定されている人口集中地区の上空

b. 規制対象となる飛行の方法
夜間飛行(日没後から日出まで)
② 操縦者の目視外での飛行(目視外飛行)
③ 第三者又は第三者の物件との間の距離が30メートル未満での飛行
④ 祭礼、縁日、展示会など多数の者の集合する催しが行われている場所の上空での飛行
⑤ 爆発物など危険物の輸送
⑥ 無人航空機からの物件の投下
上記a に掲げる空域における飛行又は上記 b に掲げる方法による飛行のいずれかに該当する飛行を「特定飛行といい、航空機の航行の安全への影響や地上及び水上の人及び物件への危害を及ぼすおそれがあることから原則として禁止されている。

3) 無人航空機の飛行形態の分類(カテゴリーⅠ~Ⅲ
飛行の禁止空域及び飛行の方法に関する無人航空機の飛行形態については、そのリスクに応じて次に掲げるとおりに分類される。

a. カテゴリーⅠ飛行
特定飛行に該当しない飛行を「カテゴリーⅠ飛行」という。この場合には、航空法上は特段の手続きは不要で飛行可能である。

b. カテゴリーⅡ飛行
特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者(以下「第三者」という。)の立入りを管理する措置(以下「立入管理措置」という。)を講じたうえで行うものを「カテゴリーⅡ飛行」という。
カテゴリーⅡ飛行のうち、特に、空港周辺、高度150m以上、催し場所上空、危険物輸送及び物件投下並びに最大離陸重量25kg以上の無人航空機の飛行は、リスクの高いものとして、「カテゴリーⅡA飛行」といい、その他のカテゴリーⅡ飛行を「カテゴリーⅡB飛行という。

c. カテゴリーⅢ飛行
特定飛行のうち立入管理措置を講じないで行うもの、すなわち第三者上空における特定飛行を「カテゴリーⅢ飛行」といい、最もリスクの高い飛行となることから、その安全を確保するために最も厳格な手続き等が必要となる。

4) 機体認証及び無人航空機操縦者技能証明
特定飛行については、航空機の航行の安全への影響や地上及び水上の人及び物件への危害を及ぼすおそれがあることから、
①使用する機体、
②操縦する者の技能及び③運航管理の方法の適格性を担保し、飛行の安全を確保する必要がある。
このうち、①使用する機体及び②操縦する者の技能について、国があらかじめ基準に適合していることを確認したことを証明する「機体認証」及び「技能証明」に関する制度が設けられている。

機体認証及び技能証明については、無人航空機の飛行形態のリスクに応じ、カテゴリーⅢ飛行に対応した第一種機体認証及び一等無人航空機操縦士、カテゴリーⅡ飛行に対応した第二種機体認証及び二等無人航空機操縦士と区分されている。
機体認証のための検査は、国又は国が登録した民間の検査機関(以下「登録検査機関」という。)が実施し、機体認証の有効期間は、第一種は1年、第二種は3年である。
技能証明のための試験は、国が指定した民間の試験機関(以下「指定試験機関」という。)が実施し、技能証明の有効期間は、一等及び二等ともに3年である。

5) 特定飛行を行う場合の航空法上の手続き等
特定飛行の安全を確保するためには、無人航空機の飛行形態のリスクに応じて、
①使用する機体、
②操縦する者の技能及び
③運航管理の方法の適格性を担保する必要があることから、飛行形態の分類に対応して次に掲げるとおりとなる。

a. カテゴリーⅡ飛行
カテゴリーⅡB 飛行に関しては、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合には、特段の手続き等なく飛行可能である。
この場合、国土交通省令で定める飛行の安全を確保するための措置(以下「安全確保措置」という。)として飛行マニュアルを作成し遵守しなければならない。
カテゴリーⅡA飛行に関しては、カテゴリーⅡB飛行に比べてリスクが高いことから、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合であっても、
あらかじめ③運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることにより可能となる。
なお、カテゴリーⅡA 飛行及びカテゴリーⅡB飛行はともに、機体認証及び技能証明の両方又はいずれかを有していない場合であっても、あらかじめ
①使用する機体、
②操縦する者の技能及び
③運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることによっても可能となる。


b. カテゴリーⅢ飛行
カテゴリーⅢ飛行に関しては、最もリスクの高い飛行となることから、
一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させることが求められることに加え、
あらかじめ③運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることにより可能となる。

(3) 航空機の運航ルール等

1) 無人航空機の操縦者が航空機の運航ルールを理解する必要性
無人航空機は、航空機と同様、空中を飛行する機器であることから、万一の場合には、航空機の航行の安全に重大な影響を及ぼすおそれがある。
この観点から、
①航空機の航行安全は、人の生命や身体に直接かかわるものとして最大限優先すべきものであること、
②航空機の速度や無人航空機の大きさから、航空機側から無人航空機の機体を視認し回避することが困難であること、
③無人航空機は航空機と比較して一般的には機動性が高いと考えられることから、航空機と無人航空機間で飛行の進路が交差し、又は接近する場合には、航空機の航行の安全を確保するためにも、無人航空機側が回避することが妥当であり、航空機は、無人航空機に対して進路権を有するとされている。

無人航空機の操縦者は、
(a)国が提供している「ドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)」などを通じて飛行情報を共有し、
(b)飛行前に航行中の航空機を確認した場合には飛行させないなどして航空機と無人航空機の接近を事前に回避するとともに、
(c)飛行中に航行中の航空機を確認した場合には無人航空機を地上に降下させることその他適当な方法を講じることが求められている。
我が国においても無人航空機と航空機の接近事案や無人航空機により空港が閉鎖される事案などが発生しており、ひとたび航空機に事故が発生した場合には甚大な被害が生じるおそれがあることから、航空機と同じ空を飛行させる無人航空機の操縦者も航空機の運航ルールを十分に理解することが極めて重要である。

2) 計器飛行方式及び有視界飛行方式
航空機が飛行する方式には、「計器飛行方式(IFR:Instrumental Flight Rules)」と「有視界飛行方式(VFR:Visual Flight Rules)」との2つがある。
計器飛行方式(IFR)は、航空交通管制機関が与える指示等に常時従って行う飛行の方式である。高速で高高度を移動する旅客機は通常は計器飛行方式(IFR)で飛行する。その他の航空機も有視界飛行方式(VFR)ができない気象状態となった場合には計器飛行方式(IFR)で飛行する。
有視界飛行方式(VFR)は、計器飛行方式(IFR)以外の飛行の方式とされ、航空機の操縦者の判断に基づき飛行する方式である。小型機や回転翼航空機は有視界飛行方式(VFR)で飛行することが多い。空港及びその周辺においては、有視界飛行方式で飛行する航空機も航空交通管制機関が与える指示等に従う必要がある。

3) 航空機の飛行高度
150メートル以下での航空機の飛行は離着陸に引き続く場合が多いが、捜索又は救助を任務としている公的機関(警察・消防・防衛・海上保安庁)等の航空機や緊急医療用ヘリコプター及び低空での飛行の許可を受けた航空機(物資輸送・送電線巡視・薬剤散布)等は離着陸にかかわらず150メートル以下で飛行している場合がある
無人航空機の操縦者は、航空機と接近及び衝突を避けるため、無人航空機の飛行経路及びその周辺の空域を注意深く監視し、飛行中に航空機を確認した場合には、無人航空機を地上に降下させるなどの適切な措置を取らなければならない。

4) 航空機の操縦者による見張り義務
航空機の操縦者は、航空機の航行中は、飛行方式にかかわらず、視界の悪い気象状態にある場合を除き、他の航空機その他の物件と衝突しないように見張りをすることが義務付けられているが、航空機の飛行速度や無人航空機の大きさを考慮すると、航空機側から無人航空機の機体を視認し回避することは困難である。
無人航空機の操縦者は、これを理解したうえで、無人航空機の飛行経路上及びその周辺の空域を注意深く監視し、飛行中の航空機を確認した場合には、無人航空機を地上に降下させるなどの適切な措置を取らなければならない。

5) 出発前の航空情報の確認
航空機の機長は、出発前に運航に必要な準備が整っていることを確認することとされ、その一環として、国土交通大臣から提供される航空情報を確認することが義務付けられている。

6) 航空機の空域の概要
無人航空機は、高度150メートル以上又は空港周辺の空域の飛行は原則禁止されているが、航空機の空域との分離を図ることにより、安全を確保することとしている。このため、無人航空機がこれらの禁止空域を飛行する場合には、当該空域を管轄する航空交通管制機関と調整し支障の有無を確認したうえで飛行の許可を受ける必要があるが、そのうえで、無人航空機の操縦者は、次に掲げる航空機の空域の特徴や注意点を十分に理解して慎重に飛行し、航空交通管制機関等の指示等を遵守する必要がある。

a. 航空機の管制区域
国は、航空交通の安全及び秩序を確保するため、航空交通管制業務を実施する区域(管制区域)を設定している(管制区域以外の空域を非管制区域という)。
航空交通管制区は、地表又は水面から200メートル以上の高さの空域のうち国が指定した空域であり、計器飛行方式により飛行する航空機は航空交通管制機関と常時連絡を取り、飛行の方法等についての指示に従って飛行を行わなければならない。また、航空交通管制圏は、航空機の離着陸が頻繁に実施される空港等及びその周辺の空域であり、全ての航空機が航空交通管制機関と連絡を取り、飛行の方法や離着陸の順序等の指示に従って飛行を行わなければならない。

b. 空港の制限表面の概要
航空機が安全に離着陸するためには、空港周辺の一定の空間を障害物が無い状態にしておく必要があるため、航空法において、次のような制限表面を設定している。

ア) 全ての空港に設定するもの
進入表面: 進入の最終段階及び離陸時における航空機の安全を確保するために必要な表面
水平表面: 空港周辺での旋回飛行等低空飛行の安全を確保するために必要な表面
転移表面: 進入をやり直す場合等の側面方向への飛行の安全を確保するために必要な表面

イ) 東京・成田・中部・関西国際空港及び政令空港において指定することができるもの東京(羽田)・成田・中部・関西国際空港及び政令空港(釧路・函館・仙台・大阪国際・松山・福岡・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・那覇の各空港)においては、航空機が頻繁に離着陸することから、上記ア)の制限表面に加え、次の制限表面も設定されている。

円錐表面:大型化及び高速化により旋回半径が増大した航空機の空港周辺での旋回飛行等の安全を確保するために必要な表面
延長進入表面:精密進入方式による航空機の最終直線進入の安全を確保するために必要な表面
外側水平表面:航空機が最終直線進入を行うまでの経路の安全を確保するために必要な表面

7) 模型航空機に対する規制
重量100グラム未満の模型航空機についても、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為は航空法により規制されている。
航空交通管制圏、航空交通情報圏、航空交通管制区内の特別管制空域等における模型航空機の飛行は禁止されている。また、国土交通省が災害等の発生時に後述の緊急用務空域を設定した場合には、当該空域における飛行も禁止される。
② ①の空域以外のうち、空港等の周辺、航空路内の空域(高度150メートル以上)、高度250メートル以上の空域において、模型航空機を飛行させる場合には、国土交通省への事前の届出が必要となる。

リリー営業部長

この章ではとても重要なワードがたくさん出てきました。
特に「特定飛行」に該当する飛行の空域と方法は覚えておきましょう。


ここまで、「無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和5年4月13日第3版)」の中から抜粋して確認してみました。
個人の判断で色塗り・マーキングをしておりますので、公式ページから最新の教則を入手しご自身で確認を行うようお願いします。

リリー営業部長

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