登録講習機関の監査について
登録講習機関は毎年「監査」を受けなければいけません。
ここでは、監査の概要について「登録講習機関等監査実施要領」を見ながら確認していきましょう。
監査の流れ
監査を依頼
登録講習機関が監査実施団体へ監査依頼を行う
監査の準備
監査実施日に向けて監査に関する情報や書類を整理する。
※随時監査は抜き打ちの場合あり
監査の実施
監査実施団体による監査に対応する
監査報告書の通知
監査実施団体より監査報告書が通知される
監査報告書の提出
通知された監査報告書を国土交通省へ提出する
計画的監査
監査の頻度 | 毎年必ず実施 |
監査の対象 | 本社と事務所の両方 |
監査の方法 | 実地監査又はオンライン監査 ※本社のみ簡略化の措置(書類監査)あり |
監査の項目 | チェックリストに沿って実施し、各項目ごとに適切・不適切、適用外・未実施のいずれかで判定 |
随時監査
監査の頻度 | 必要に応じて実施 ※監査結果によって講習事務の状況が不適切と判断された場合 ※事故もしくは重大インシデントが発生した場合 ※品質管理上の不具合事象等が発生した場合 |
監査の対象 | 本社と事務所の両方 |
監査の方法 | 原則は計画的監査と同様だが状況により異なる |
監査の項目 | 原則として計画的監査の監査項目に沿うが状況により更なる詳細監査もある |
監査の対象者
計画的監査対象となるのは、登録講習機関として登録されている本社と全ての事務所です。
本社は「登録講習機関等の講習事務等の方針について、最終責任及び決定権を持つ組織」のことを言い、
事務所は「講習事務を行う事務所(ドローンスクール)」のことを示しています。
監査の実施方法
1・2年目の計画的監査は実地監査又はオンライン監査で実施されます。
そして、登録講習機関の有効登録期間の最終年度に当たる3年目は必ず実地監査を受けなければいけません。
なお、ISO9001を取得・維持している場合には、認証書等の必要書類を国に提出する事で書類監査のみに省略可能です。
ただし、認証書等を保有していたとしても、3年目には必ず実地監査を受ける必要があります。
監査の項目
計画的監査の監査項目はチェックリストを元に監査が行われますが、本社と事務所でチェックリストの項目が異なる事は抑えておきましょう。
随時監査の監査項目は、計画的監査の監査項目に沿って実施されますが、必要に応じて更に重点的に詳細な監査が実施される場合も考えられます。
例えば、重大インシデントが発生した場合より詳細な監査が行われる可能性はゼロではありません。
本社の監査項目は以下の監査チェックリストに沿って実施されます。
監査のチェックリスト
【監査チェックリスト 本社用】
本社の監査項目は以下の監査チェックリストに沿って実施されます。
画像出典:登録講習機関等監査実施細則
【監査チェックリスト 事務所用】
事務所の監査項目は以下の監査チェックリストに沿って実施されます。
事務所監査の特徴は、登録講習機関が実施する学科講習、実地講習、実地試験(修了審査)の監査が行われる点です。
なお、事務所監査においては、実地監査かオンライン監査かによって監査方法が異なります。
実地監査 | サンプリング監査を実施 実際に講習の一部や修了審査を実施してもらい、適切かどうか監査する |
オンライン監査 | 講習の一部や修了審査を実施している様子を動画撮影を行い、監査実施団体へ提出する |
実地監査の場合は、以下のようなサンプリング監査が行われることになっています。
【実地監査におけるサンプリング監査】
- 学科講習は、無人航空機の種類及び技能証明の資格の区分ごとに監査実施団体が指定する1科目以上の履修科目について、それぞれ必ず1回は監査を実施する。
- 実地講習は、無人航空機の種類及び技能証明の資格の区分ごとに監査実施団体が指定する1科目以上の履修科目について、それぞれ必ず1回は監査を実施する。
- 修了審査は、無人航空機の種類及び技能証明の資格の区分ごとにそれぞれ必ず1回は監査を実施する。
- 学科講習、実地講習、修了審査すべてが同日での監査が難しい場合は、複数日程を組んだ上で監査を実施する。
なお、オンライン監査の場合はサンプリング監査対象となる内容が別の方法で監査が行われます。
オンライン監査の際は、学科講習や実地講習、修了審査は実施した様子を撮影した動画等を監査実施団体に提出しなければなりません。
提出する動画内容の注意点は以下のとおりです。
【オンライン監査における動画内容の注意点】
- 修了審査は開始から終了までを撮影対象とし、コースのレイアウトが把握でき、無人航空機全体が終始映るように撮影すること。
- 学科講習、実地講習は、監査対象となる講習が最低1時間以上の撮影を行うこと。
- 学科講習、実地講習の内、監査実施団体から指定された履修科目は開始から終了までを撮影対象とする。
- 学科講習がオンライン講習で実施され、動画撮影が困難であると航空局が認めた場合、または航空局が不要と認めた場合はこの限りではない。
- ※認められない場合は、オンライン講習も動画等の提出が必要。
監査員側の対応内容
ここからは監査員が実施することを確認しておきます。
監査基準や判定の根拠、監査結果の報告・監理など、監査側の流れを理解しておきましょう。
特に監査により不適合と判断された場合の是正処置については重要です。
監査依頼の受理
各登録講習機関等は、監査実施団体一覧から監査を受けたい監査実施団体を選択し、監査実施団体に対して監査依頼を行う。
依頼を受けた監査実施団体は、依頼元の登録講習機関等に対して依頼の受理の可否の連絡を行う。
なお、監査実施団体は、登録講習機関からの監査の依頼があった場合には、自らの能力を超えない限りにおいて、登録講習機関等からの監査依頼を公平かつ誠実に受け入れ、不当に差別的な取扱いを行わないよう配慮すること。
また、1-4(1)に掲げる関係がある登録講習機関等からの監査依頼を受理してはならない。監査実施団体は監査を行う予定のすべての登録講習機関等を対象としてまとめた年度別の監査計画を作成する。
1-4. 定義
この要領における用語の定義は次のとおりとする。
(1)監査実施団体
監査を受ける登録講習機関等(以下「被監査者」という。)とは別法人であり、被監査者との間に、次に掲げる関係がない団体をいう。
・被監査者の役員が当該団体の役員である。
・被監査者の役員が当該団体の役員の親族である。
・被監査者と当該団体(それぞれの親会社及び役員を含む)が特定支配関係(当該一の者又は双方が法人の株式等又は議決権数等の3分の1以上を直接又は間接に有する関係)にある。
監査の実施方法等
(1)管理者から監査の実施の指示を受けた監査責任者は、監査に資する情報等を収集及び整理した後、監査員を招集し、監査スケジュール及び注意事項等を確認するとともに監査の実施方針の設定を行う。
(2)監査責任者は、被監査者に監査の範囲、監査スケジュール、対応者等の確認を行った後、監査を開始する。
(3)監査は、チェックリストに沿って行うこととするが、不適切事項等が認められた場合には、より詳細な確認を行うものとする。
(4)監査において、不適切事項等の抽出は、客観的証拠に基づき行う。
(5)監査責任者は、監査終了後に監査チームの内部ミーティングを開催し、監査中に発見された不適切事項等について確認を行う。
(6)監査責任者及び監査員は、監査終了時の会議において不適切事項等の内容を被監査者に説明し、両者でその内容についての事実確認を行う。
(7)監査責任者は、不適切事項と判断したものについて口頭で被監査者に対し、当該事項に係る是正措置の検討を指示する。
(8)監査責任者は、不適切事項に該当するかどうか判断できないものについては、監査実施団体においてその取扱いを協議することとし、監査終了時の会議でその旨を被監査者に伝えるものとする。後日、監査責任者は、被監査者に対し、当該協議の結果について伝える。
(9)監査責任者は、不適切事項のうち、法違反又は安全上重大な問題があると考えられるものについては、速やかに管理者に報告し、その指示に従う。
(10)監査責任者は、監査中に問題が発生した場合には、管理者に指示を仰ぎ、被監査者と協議し、問題の解決に努めるものとする。この場合において、監査の継続が不可能と判断した場合は、監査を中止することができる。
監査における判定
監査チームは、各監査項目について、次のいずれかの判定を行うものとする。
なお、判定に当たっては、各監査項目について、判定結果に加えて、判定の根拠及び判定の根拠に係る資料等の証跡についても記録として保管するものとする。
(1)適切
現状で特に問題ないと判断したもの
(2)重大な不適切
次に掲げるような法違反又は安全上重大な問題となる不適切事項であって、直ちに航空局への報告が必要なもの
・航空法の規定に違反する事案
・無人航空機操縦士実地試験実施細則の規定による修了審査の実施方法に基づかないで修了審査を行っている事案
・講師の条件を満たさない者が講習を行っている事案
・修了審査員の条件を満たさない者が修了審査を行っている事案
(3)不適切
次の①から③までのいずれかに該当する事項であって、是正又は是正の検討が必要と考えられる事項が認められたもののうち、上記(2)を除くもの
① 1-3. 準拠基準又は航空局への届出規程に適合していない事項
② 被監査者が独自に設定した規定等に適合していない事項
③ 上記①及び②に該当しないが、被監査者の講習事務に係る体制が適切でない又は潜在的なリスクがあると考えられる場合
注)③に準ずるものであるが、必ずしも不適切とはいえないものについては「要検討」事項として、是正の検討を求めることができる。
(4)適用外
当該項目に該当する事実がないもの
(5)未実施
当該項目について監査を行わなかったもの
監査結果の処理
監査結果の処理については下記に従うこと。なお、重大な不適切事項が確認された場合には、直ちに航空局に報告すること。
■監査結果の処理方法等
(1)不適切事項等が認められた場合には、監査責任者は、管理者に不適切事項等及び是正措置内容報告書を用いて、不適切事項等の是正管理について報告する。
(2)管理者は、取りまとめた監査報告書の提出により、被監査者に対し監査結果の通知を行う。
また、不適切事項等が認められた場合には、不適切事項等通知書を発出することとし、当該通知書に記載された事項については、被監査者に是正措置の検討及び報告を求めることとする。
通知に当たっては、是正措置の検討に必要な期間を勘案し、報告期限を付記するものとし、是正措置の報告には、その実施時期又は実施期限を明示させることとする。
管理者又は監査責任者は、登録講習機関から報告された内容に従い、不適切事項等及び是正措置内容報告書を更新する。
また、是正措置の内容が講習事務規程等の改訂等を伴う場合その他事前に調整が必要と認められる場合には、被監査者に関係者への事前の通知及び調整を行わせるものとする。
(3)被監査者からの是正措置完了の報告を受けた監査責任者又は監査員はその報告内容を確認する。
是正措置が完了したと認められる場合は、不適切事項等及び是正措置内容報告書に是正措置完了を確認した旨の署名又は押印を行う。
なお、報告内容の確認に当たっては、必要に応じて随時監査等を行い、是正措置の実施状況等について確認するものとする。
監査責任者による是正措置完了の確認後、管理者は、被監査者において是正措置が完了したことを不適切事項等及び是正措置内容報告書で確認する。
当該是正措置は、管理者の確認をもって完了とする。
是正措置完了後、監査実施団体は、是正措置完了を確認した旨の署名又は押印を行った不適切事項等及び是正措置内容報告書を被監査者に提出する。
(4)(3)の規定による管理者の確認の結果、被監査者の是正措置の内容が不十分であると判断される場合には、管理者は、再度是正措置を求めるものとする。
また、不適切事項について被監査者が何ら必要な是正措置を講じる計画を持たない、又は是正措置を講じる見込みが無いと考えられる場合は、航空局に報告するものとする。
■監査報告書並びに不適切事項等及び是正措置内容報告書の航空局への提出
登録講習機関等は、省令第6条第8号の規定に基づき、当該監査のうち計画的監査について、監査が終了した日から一月以内に監査報告書並びに不適切事項等及び是正措置内容報告書を航空局に提出する。
なお、不適切事項等及び是正措置内容報告書については、是正措置等が完了していない場合には、是正措置等が完了次第、不適切事項等及び是正措置内容報告書に是正措置等を追記し、5-6-1(3)の監査実施団体による確認が完了した不適切事項等及び是正措置内容報告書を速やかに航空局に再提出する。
■不適切な運営についての報告
管理者は、講習事務の運営に対して実質的に大きな影響が生じ、登録講習機関等として行うべき義務を十分に果たしていないと認められた場合等にあっては、航空局に報告するものとする。
監査のポイント
登録講習機関の監査内容を把握し早めに準備するのがポイント
国家資格制度の普及はドローン業界の発展に繋がる大きな切っ掛けになり得ます。
そのため、登録講習機関は講習を行うだけではなく課された義務を守り、多くの国家資格取得者を送り出せる体制を整える事が重要です。
登録講習機関の監査は義務化されており必ず毎年監査を受けなければいけないため、監査に向けてしっかり準備しておきましょう。
今回抑えておきたいポイントは、以下の通りです。
- 登録講習機関が監査を受けることは義務化されている。
- 監査の目的は「登録講習機関として適切な運用であるかチェックするため」、「不十分な点があれば、運用を改善するように指示するため」。
- 監査は「計画的監査」と「随時監査」の2種類がある。
- 計画的監査は毎年必ず実施され、随時監査は必要により随時実施される。
- 監査対象は登録講習機関の本社と事務所の両方。
- 監査内容は監査チェックリストに沿って実施。
- 監査実施後は監査実施団体から報告書が通知される。
- 登録講習機関は国交省へ報告書を監査終了後1ヶ月以内に提出しなければならない。
登録講習機関の監査に向けた準備サポートでお困りの際は、「あさぬま行政書士事務所」までご相談ください。
ここまで、監査要領の中から抜粋して監査の概要について確認してみました。
個人の判断に基づいていますので、判断に際しては、公式ページから最新の監査要領を入手し、ご自身で行うようお願いします。
「あさぬま行政書士事務所」はドローンの許認可申請代行をお受けします。いつでもご相談ください。
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