【無人航空機操縦士】ドローン国家資格 教則の確認(第17回)リスク管理

【無人航空機操縦士】教則の確認

ドローン無人航空機操縦士の技能証明を受けるものは、航空機を飛行させるのに必要な法的知識が必要です。
安全な飛行ができるよう「無人航空機の飛行の安全に関する教則」令和5年4月13日第3版を読んでみることにします。
第17回は最終回「リスク管理について」です。

回転翼航空機(マルチローター)

(1) 回転翼航空機(マルチローター)の運航の特徴

回転翼航空機(マルチローター)は複数のローターを機体周辺に備え、ローターを回転させることにより揚力を得て垂直上昇し、フライトコントロールシステムにより安定した飛行を行うことができる。

(2) 回転翼航空機(マルチローター)の使用機体と飛行計画を元にしたリスク軽減策の検討
要素の例〔一等〕

回転翼航空機(マルチローター)において、使用機体と飛行計画を元にしたリスク軽減策の検討要素の例として、以下の項目が挙げられる。

1) 離陸及び着陸
離着陸地点において、機体と操縦者、補助者及び周囲の物件との必要な安全距離を確保する。
・ 地面効果範囲内の飛行時間を短くする。

2) 飛行
飛行経路において人や物件との必要な安全距離を確保する。
緊急着陸地点の安全確保方法を飛行前に検討する。
自動帰還時の高度を障害物等が回避できる安全な高さに設定する。

(3) リスク軽減策を踏まえた運航の計画の立案の例〔一等〕

回転翼航空機(マルチローター)において、リスク軽減策を踏まえた運航計画の立案の際に留意するべき要素の例として、以下の項目が挙げられる。
1) 離陸及び着陸
離陸地点は操縦者及び補助者との距離を3m以上保つか、機体の取扱説明書に推奨距離が記載されている場合はその指示に従う。
離陸地点は周囲の物件から 30m以上離すことができる場所を選定する。距離が確保できない場合は、補助者を配置するなどの安全対策を講じる。

2) 飛行
・ 飛行経路での最高飛行高度の設定を行う。
・ 飛行中断に備え、飛行経路上又はその近傍に緊急着陸地点を事前に選定する。
プロペラガード等の安全装備がない機体の場合、第三者の立入りを制限できる場所の選定又は補助者の配置を検討する。操縦者も必要に応じて保護具を使用する。

大型機(最大離陸重量25kg以上)

(1) 大型機(最大離陸重量25kg以上)の運航の特徴

大型機(最大離陸重量 25kg 以上)は、事故発生時の影響が大きいことから、操縦者の運航への習熟度及び安全運航意識が十分に高いことが要求される。
大型機は機体の慣性力が大きいことから、増速・減速・上昇・降下などに要する時間と距離が長くなるため、障害物回避には特に注意が必要である。
緊急着陸地点の選定も小型機よりは広い範囲が要求される。
一般に小型の機体よりも騒音が大きくなるため、飛行経路周囲への配慮が必要である。

(2) 大型機(最大離陸重量25kg以上)の使用機体と飛行計画を元にしたリスク軽減策の検
討要素の例〔一等〕

大型機において、使用機体と飛行計画を元にしたリスク軽減策の検討要素の例として、以下の項目が挙げられる。
・ 飛行速度に応じた障害物回避に必要な時間や距離を事前に把握する。
・ 安全な緊急着陸地点を選定する。
・ 離着陸地点及び飛行経路周辺の騒音問題対応を検討する。

(3) リスク軽減策を踏まえた運航の計画の立案の例〔一等〕

大型機において、リスク軽減策を踏まえた運航計画の立案の際に留意するべき要素の例として、以下
の項目が挙げられる。

・ 障害物回避など機体の進行方向を変える場合は、時間的、距離的な余裕を十分に考慮した飛行経路及び飛行速度を設定する。
・ 緊急着陸地点は、第三者の進入が少ない場所(河川敷、農地など)を選定する。
・ 離着陸地点を含む飛行経路近隣エリアへの事前説明、調整を計画する。

夜間飛行

(1) 夜間飛行の運航

夜間飛行は、機体の姿勢及び方向の視認、周囲の安全確認が昼間(日中)飛行と比較し困難となる。
夜間飛行においては、原則として目視外飛行は実施せず、機体の向きを視認できる灯火が装備された機体を使用する。
操縦者は事前に第三者の立入りの無い安全な場所で、訓練を実施すること。
離着陸地点を含め、回避すべき障害物などには、安全確保のため照明が必要である。

(2) 夜間飛行のリスク軽減を図るための対策と提案〔一等〕

夜間飛行において、リスク軽減を図るための検討要素の例として、以下の項目が挙げられる。
・ 操縦者は、夜間飛行の訓練を修了したものに限定する。
・ 夜間における機体灯火の視認可能範囲など、飛行範囲を明確にする。
・ 操縦者と補助者の連絡方法の有効性を確認する。
・ 飛行経路下を飛行管理区域に設定する。
・ 第三者が出現する可能性が高い地点の特定と対応方法を検討する。
・ 離着陸を予定している場所、回避すべき障害物、緊急着陸予定地点を視認可能とする。

(3) 夜間飛行におけるリスク軽減策を踏まえた運航の計画の立案の例〔一等〕

夜間飛行において、リスク軽減策を踏まえた運航計画の立案の際に留意するべき要素の例として、以下の項目が挙げられる。
・ 夜間飛行においては、目視外飛行は実施せず、機体の向きを視認できる灯火等が装備できる機体を使用し、機体の灯火が容易に認識できる範囲の飛行に限定する。
・ 飛行高度と同じ半径内に第三者が存在しない状況でのみ飛行を実施する。
・ 離着陸を予定している場所、回避すべき障害物、緊急着陸予定地点を照明の設置等により明確にするとともに、機体が視認できるようにする。
・ 飛行経路全体を見渡せる位置に、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は操縦者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行う。
・ 第三者が出現する可能性が高い地点には、補助者を配置する。
・ 操縦者と補助者は常時連絡が取れる機器を使用する。
・ 補助者についても、機体特性を十分理解させておく。

目視外飛行

(1) 目視外飛行の運航

1) 補助者を配置する場合
目視外飛行の運航は、機体の状況や障害物等の周囲の状況を直接肉眼で確認することができない。
飛行経路全体を把握し、安全が確認できる双眼鏡等を有する補助者の配置を推奨
する。
目視外飛行においては、次に掲げる機能を装備した無人航空機を使用すること。
・ 自動操縦システムを装備し、機体に設置したカメラ等により機体の外の様子が監視できる。
・ 地上において、無人航空機の位置及び異常の有無を把握できる(不具合発生時に不時着した場合を含む)。
・ 不具合発生時にフェールセーフ機能が正常に作動する。
当該機能の例は、以下のとおり。
電波断絶の場合に、離陸地点まで自動的に戻る機能又は電波が復帰するまでの間、空中で位置を継続的に維持する機能
GNSS の電波に異常が見られる場合に、その機能が復帰するまでの間、空中で位置を継続的に維持する機能、安全な自動着陸を可能とする機能又は GNSS 等以外により位置情報を取得できる機能
③ 電池の電圧、容量又は温度等に異常が発生した場合に、発煙及び発火を防止する機能並びに離陸地点まで自動的に戻る機能又は安全な自動着陸を可能とする機能

2) 補助者を配置しない場合
補助者を配置しない場合は、無人航空機に求められる要件が追加されることに注意が必要である。追加される要件の例を次に掲げる。
航空機からの視認をできる限り容易にするため、灯火を装備する。または飛行時に機体を認識しやすい塗色を行う。
・ 地上において、機体や地上に設置されたカメラ等により飛行経路全体の航空機の状況が常に確認できる。
・ 第三者に危害を加えないことを、製造事業者等が証明した機能を有する。
ただし立入管理区画(第三者の立入りを制限する区画)を設定し、第三者が立ち入らないための対策を行う場合、又は機体や地上に設置されたカメラ等により進行方向直下及びその周辺への第三者の立入りの有無を常に監視できる場合は除く。
・ 地上において、機体の針路、姿勢、高度、速度及び周辺の気象状況等を把握できる。
・ 地上において、計画上の飛行経路と飛行中の機体の位置の差を把握できる。
・ 想定される運用に基づき、十分な飛行実績を有する機体を使用すること。この実績は、機体の初期故障期間を超えていること。

(2) 目視外飛行のリスク軽減を図るための対策と提案〔一等〕

目視外飛行において、リスク軽減を図るための検討要素の例として、以下の項目が挙げられる。
1) 補助者を配置する場合
・ 操縦者は、目視外飛行の訓練を修了したものに限定する。
・ 事前確認などにより、適切な飛行経路を選定する。
・ 適切な補助者の配置を検討する。
・ 飛行前に、飛行経路下に第三者が存在しないことを確認する。
・ 操縦者と補助者の連絡方法の有効性を確認する。

2) 補助者を配置しない場合
補助者を配置しない場合は、例えば、次のような内容を追加する。
・ 操縦者は、補助者無し目視外飛行の教育訓練を修了したものに限定する。
・ 飛行経路は第三者の存在する可能性の低い場所を選定する。
・ 有人機の運航を妨げない飛行範囲を設定する。
・ 緊急時の対応と、緊急着陸地点をあらかじめ設定する。
・ 立入管理区画を設定した場合、第三者が立ち入らないための方策及び周知方法を設定する。

(3) 目視外飛行におけるリスク軽減策を踏まえた運航の計画の立案の例〔一等〕

目視外飛行において、リスク軽減策を踏まえた運航計画の立案の際に留意するべき要素の例として、以下の項目が挙げられる。
1) 補助者を配置する場合
・ 飛行経路及び周辺の障害物件等を事前に確認し、適切な経路を特定し選定すること。
・ 飛行経路全体が見渡せる位置に飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる双眼鏡等を有する補助者を配置し、操縦者へ必要な助言を行うこと。
・ 操縦者と補助者が常時連絡を取れること。
・ 補助者が安全に着陸できる場所を確認し、操縦者へ適切な助言を行うことができること。
・ 補助者にも機体の特性を理解させておくこと。

2) 補助者を配置しない場合
補助者を配置しない場合は、例えば、次のような内容を追加する。
・ 飛行経路には、第三者が存在する可能性が低い場所を設定する。第三者が存在する可能性が低い場所は、山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地、ゴルフ場又はこれらに類するものとする。
・ 空港等における進入表面等の上空の空域、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域又は地表若しくは水面から150m以上の高さの空域の飛行は行わない。(一時的に地表から 150m を超える飛行を行う場合は、山間部の谷間など、航空機との衝突のおそれができる限り低い空域を選定する。)
・ 全ての飛行経路において飛行中に不測の事態(機体の異常、飛行経路周辺への第三者の立入り、航空機の接近、運用限界を超える気象等)が発生した場合に、付近の適切な場所に安全に着陸させる等の緊急時の対策手順を定めるとともに、第三者及び物件に危害を与えずに着陸ができる場所を予め選定すること。
・ 飛行前に、飛行させようとする経路及びその周辺について、不測の事態が発生した際に適切に安全上の措置を講じることができる状態であることを現場確認する。
・ 飛行範囲の外周から落下距離の範囲内を立入管理区画とし、飛行経路には第三者が存在する可能性が低い場所の設定基準を準用する。
・ 立入管理区画を設定した場合は、当該立入管理区画に立看板等を設置するとともに、インターネットやポスター等により、問い合わせ先を明示した上で上空を無人航空機が飛行することを第三者に対して周知する。
・ 立入管理区画に道路、鉄道、家屋等、第三者が存在する可能性を排除できない場所が含まれる場合には、追加の第三者の立入りを制限する方法を講じる。


ここまで、「無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和5年4月13日第3版)」の中から抜粋して確認してみました。
個人の判断で色塗り・マーキングをしておりますので、公式ページから最新の教則を入手しご自身で確認を行うようお願いします。

リリー営業部長

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