【無人航空機操縦士】ドローン国家資格 教則の確認(第16回)リスク管理

【無人航空機操縦士】教則の確認

ドローン無人航空機操縦士の技能証明を受けるものは、航空機を飛行させるのに必要な法的知識が必要です。
安全な飛行ができるよう「無人航空機の飛行の安全に関する教則」令和5年4月13日第3版を読んでみることにします。
第16回は「リスク管理について」です。

安全に配慮した飛行

無人航空機の飛行にあたっては、法令等に基づく基準や要件に適合させるのは当然だが、様々な要素により、飛行中、操縦が困難になること、又は予期せぬ機体故障等が発生する場合があることから、運航者は運航上の「リスク」を管理することが安全確保上非常に重要である。
すなわち、運航者は行おうとする運航の形態に応じ、事故等につながりかねない危険性のある要素(ハザード)を具体的に可能な限り多く特定し、それによって生じる「リスク」を評価したうえで、「リスク」の発生確率を低減させたり、「リスク」の結果となる被害を軽減したりする措置を講じることで、「リスク」を許容可能な程度まで低減する必要がある。
このようなリスク管理の考え方は、特にカテゴリーⅢ飛行において重要となるが、その他の飛行においても十分に理解したうえで、安全に配慮した計画や飛行を行うことが求められる。

(1) 安全確保のための基礎

1) 安全マージン
飛行を行う際は、原則として飛行空域に安全マージンを加えた範囲で実施する。
・ 飛行経路を考慮し、周辺及び上方に障害物がない水平な場所を離着陸場所と設定する。
緊急時などに一時的な着陸が可能なスペースを、前もって確認・確保しておく。
飛行領域に危険半径高度と同じ数値又は 30mのいずれか長い方)を加えた範囲を、立入管措置を講じて無人地帯とした後、飛行する。

2) 飛行の逸脱防止
飛行の逸脱を防止するためには、以下の事項を行うことが有効である。
・ ジオフェンス機能を使用することにより、飛行禁止空域を設定する。
・ 衝突防止機能として無人航空機に取り付けたセンサを用いて、周囲の障害物を認識・回避する。

3) 安全を確保するための運航体制
安全を確保するための運航体制として、操縦と安全管理の役割を分割させる目的で操縦者に加えて、安全管理者(運航管理者)を配置することが望ましい。

飛行計画

(1) 飛行計画策定時の確認事項

飛行計画では、無人航空機の飛行経路・飛行範囲を決定し、無人航空機を運航するにあたって、自治体など各関係者・権利者への周知や承諾が必要となる場合がある。
離着陸場は人の立ち入りや騒音、コンパスエラーの原因となる構造物がないかなどに留意する。
飛行経路の設定は高圧電線などの電力施設が近くにないか、緊急用務空域に当たらないか、ドクターヘリなどの航空機の往来がないかなどを考慮に入れる必要がある。着陸予定地点に着陸できないときに、離陸地点まで戻るほどの飛行可能距離が確保できないなどのリスクがある場合、別途事前に緊急着陸地点を確保しておくべきである。
飛行計画の全ての工程において安全管理が優先され、離陸前、離陸時、計画経路の飛行、着陸時、着陸後の状況に応じた安全対策を講じ、飛行の目的を果たす飛行計画の策定が求められる。
飛行計画策定時は、機体の物理的障害や飛行範囲特有の現象、制度面での規制、事前に予想しうる状況の変化などを想定した確認事項の作成が求められる。
予定される飛行経路や日時において緊急用務空域の発令など、一時的な飛行規制の対象空域の該当となっていないかなど計画策定時に確認する必要がある。

(2) 事故・インシデントへの対応

無人航空機の運航中に万が一事故やインシデントが発生した場合を想定し、事前に緊急連絡先を定義しておく。
負傷者や第三者物件への物損が発生した場合は、直ちに当該無人航空機の飛行を中止するとともに、人命救助を最優先に行動し、消防署や警察に連絡するなど危険を防止するための必要な措置を講じなければならない。
また、「無人航空機の事故及び重大インシデントの報告要領」に従って、速やかに国土交通大臣に事故等の報告をしなければならない。

(3) カテゴリーⅢ飛行において追加となる安全確保〔一等〕

カテゴリーⅢ飛行の飛行形態に応じたリスク評価において、機体選定に関して考慮する注意点の例としては以下のとおり。
・ 地上の第三者への被害の可能性を低減させる対策として、必要最低限の数より多くのプロペラ及びモーターを有するなど、適切な冗長性を備えた機体を使用すること。
・ 地上の第三者への被害を軽減させる対策として、パラシュートを展開するなど、落下時の衝撃エネルギーを軽減できる機能を有する機体を使用すること。

経路設定

(1) 飛行経路の安全な設定

飛行経路は、無人航空機が飛行する高度と経路において、障害となる建物や鳥などの妨害から避けられるよう設定する。
障害物付近を飛行せざるを得ない経路を設定する際は機体の性能に応じて安全な距離を保つように心がける。
操縦者の目視が限界域付近となる飛行では、付近の障害物との距離差が曖昧になりやすいため、事前に飛行経路付近の障害物との距離を現地で確認し、必要と判断した場合は補助者を配置することが望ましい。

(2) カテゴリーⅢ飛行において追加となる経路設定の注意点〔一等〕

カテゴリーⅢ飛行においては、飛行形態に応じてリスクの分析及び評価を行い、その結果に基づくリスク軽減策を講じる必要がある。
経路設定に当たっては、地上リスクと空中リスクの両方に関し、逸脱や墜落などの異常事態時におけるリスク軽減策を講じる必要があるが、具体的な対策の例は以下のとおりである。なお、これらに必要となる機体の機能や安全対策は事前に検証が必要である。
・ 可能な限り第三者の立入りが少ない飛行経路を設定する。
・ 飛行経路付近に緊急着陸地点や不時着エリアを予め設定する。
・ 飛行経路からの逸脱を防止するためのジオフェンス機能を設定する。
・ ジオフェンス機能の設定において、当日の他の航空機との空域調整結果が反映されていることを確認する。

無人航空機の運航におけるハザードとリスク

無人航空機の運航において、「ハザード」は事故等につながる可能性のある危険要素(潜在的なもの
を含む。)をいう。「リスク」は無人航空機の運航の安全に影響を与える何らかの事象が発生する可能性
をいう。発生事象のリスクは、予測される頻度(被害の発生確率)と結果の重大性(被害の大きさ)により
計量する。

無人航空機の運航リスクの評価

無人航空機の飛行にあたって、リスク評価とその結果に基づくリスク軽減策の検討は安全確保上非常に重要である。
すなわち、運航形態に応じ、事故等につながりかねない具体的な「ハザード」を可能な限り多く特定し、それによって生じる「リスク」を評価したうえで、リスクを許容可能な程度まで低減する。
リスクを低減するためには、
①事象の発生確率を低減するか、
②事象発生による被害を軽減するか、

の両方を検討したうえで必要な対策をとる。
例えば、機材不具合というハザードによる墜落というリスクに対しては、機材不具合の可能性を低減するために信頼性の高い機材を使用(上記①)したり、墜落時にパラシュートにより地上の被害を低減(上記②)したりなどの対策が考えられる。

カテゴリーⅢ飛行におけるリスク評価〔一等〕

第三者上空を飛行するカテゴリーⅢ飛行は、万一墜落等の事故が生じた場合には、人の生命及び身体に甚大な被害をもたらすリスクの高い飛行となることから、厳格に安全を確保する必要がある。
このため、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させることに加え、あらかじめ、その運航の管理が適切に行われることについて国による飛行の許可・承認を受けることが必要となる。
具体的には、飛行形態に応じてリスクの分析及び評価を行い、その結果に基づくリスク軽減策を講じる必要がある。
また、無人航空機を飛行させる際の適切な運航管理の体制を維持するため、リスク評価の結果に基づくリスク軽減策の内容等を記載した飛行マニュアルを作成・遵守することが求められる。

(1)において「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行)」におけるリスク評価の基本的な考え方を、(2)においてリスク評価手法の1つである「安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン」(公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構 福島ロボットテストフィールド発行)(以下「リスク評価ガイドライン」という。)の概要をそれぞれ示す。

(1) カテゴリーⅢ飛行におけるリスク評価の基本的な考え方〔一等〕

1) リスク分析及び評価において考慮すべき事項
「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行)」においては、国による飛行の許可・承認を受けるための申請を行う場合には、飛行形態に応じてリスクの分析及び評価を行い、その結果を提出することを求めている。
リスクの分析及び評価において考慮すべき事項は少なくとも以下を含むこととしている。

① 次の事項を含む運航計画
・飛行の日時
・飛行する空域及びその地域
・無人航空機を飛行させる者及び運航体制
・使用する無人航空機
・飛行の目的
・飛行の方法
② 飛行経路における人との衝突リスク(地上リスク)及び航空機との衝突リスク(空中リスク)
③ 電波環境(無線通信ネットワークを利用して操縦を行う場合に限る。)
④ 使用条件等指定書で指定された使用の条件等、使用する無人航空機の情報
⑤ 無人航空機を飛行させる者の無人航空機操縦者技能証明及び訓練の内容
⑥ 無人航空機を飛行させる者を補助する者等を含めた運航体制

2) リスク軽減策を記載した飛行マニュアル
無人航空機を飛行させる際の適切な運航管理の体制を維持するため、リスク評価の結果に基づくリスク軽減策の内容を記載した飛行マニュアルの作成・遵守をすることが求められる。
当該飛行マニュアルに記載する事項として例えば以下のようなものがある。

① 無人航空機の点検・整備
無人航空機の機能及び性能に関する基準に適合した状態を維持するため、次に掲げる事項に留意して、機体の点検・整備の方法を記載する。
・機体の点検・整備の方法
・機体の点検・整備の記録の作成方法
・整備の実施・責任体制の明確化

② 無人航空機を飛行させる者の訓練
無人航空機を飛行させる者の飛行経歴、知識及び能力を確保・維持するため、次に掲げる事項に

留意して、無人航空機を飛行させる者の訓練方法等を記載する。
・無人航空機を飛行させる者の資格に関する事項
・知識及び能力を習得するための訓練方法
・知識及び能力を維持させるための訓練方法
・飛行記録(訓練を含む。)の作成方法
・無人航空機を飛行させる者が遵守しなければならない事項
・訓練の実施・管理体制の明確化

③ 無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制
次に掲げる事項に留意して、安全を確保するために必要な体制を記載する。
・飛行前の安全確認の方法
・無人航空機を飛行させる際の安全管理体制
・事故等の報告要領に定める事態への対応及び連絡体制



ここまで、「無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和5年4月13日第3版)」の中から抜粋して確認してみました。
個人の判断で色塗り・マーキングをしておりますので、公式ページから最新の教則を入手しご自身で確認を行うようお願いします。

リリー営業部長

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