【無人航空機操縦士】ドローン国家資格 教則の確認(第15回)操縦知識

【無人航空機操縦士】教則の確認

ドローン無人航空機操縦士の技能証明を受けるものは、航空機を飛行させるのに必要な法的知識が必要です。
安全な飛行ができるよう「無人航空機の飛行の安全に関する教則」令和5年4月13日第3版を読んでみることにします。
第15回は「操縦知識について」です。

5.2.1 離着陸時の操作

(1) 離着陸時に特に注意すべき事項(回転翼航空機(マルチローター))

リリー営業部長

無線航空機操縦士の実地試験では、最後に安全用センサーを切ったATTIモードで飛行します。
屋内で受験する場合は風の影響も無いので、A地点〜B地点間から緊急でホームに戻るくらい問題ないと思いますが、そもそもそれ以前の問題で、ATTIモードで離陸するときが問題です。
離陸直後は自分の吹き下ろしの風により安定せず、集中してスティック操作をしないとエリア外に出ようとします。
ATTIモードで離陸するときは「ゆるゆる」と上げず、吹き下ろしの影響を受けない高さまで「す〜っ」と上げてしまうといいです。
尚、これから受験する方はDJI Mavic3Classicを使って実地試験を行うと思いますが、教習用に販売される機体はATTIモードの設定メニューがありますが、一般用に市販されているこの機体ではATTIモードの設定はできません。

1) 離陸
回転翼航空機(マルチローター)はコントローラー等によるスロットル操作によって高速に回転する翼から発せられる揚力が重力を上回ることにより離陸する。
機体重量 1.5kg ほどの回転翼航空機(マルチローター)を例にすると、離陸直後から対地高度1m程度までの間は、回転翼から発せられる吹きおろしの気流が地面付近で滞留し、揚力が増す現象「地面効果」が起こりやすくなる。

2) ホバリング
離陸後、任意の対地高度で一定の高度と位置を継続的に維持することをホバリングという。
ホバリング状態の機体は回転翼から発せられる揚力と、重力のバランスが保たれている状態を維持している。
回転翼航空機(マルチローター)が飛行時に高い安定性を確保するために方位センサ、地磁気センサやGNSS受信機、気圧センサが用いられている。
緊急時にはセンサ類に頼らない手動操作によるホバリングも要求される。

3) 降下
機体を降下させるには、スロットル操作を徐々に弱め揚力を減少させる。
機体を垂直降下させる時に、吹きおろした空気が再び吸い込まれ、回転翼の上下で空気の再循環が発生し急激に揚力を失う現象「ボルテックス・リング・ステート」が発生する。降下の際は水平方向の移動を合わせて操作することで墜落防止対策となる。

4) 着陸
降下を継続し着陸を行う際には、対地高度に応じて降下速度を減少させる。着地後にコントローラーでローターの回転を停止させる。

5) GNSSを使用しない操作
緊急時にはGNSS受信装置による機体位置推定機能を使用しない機体操作が求められる。

6) GNSSを使用しないホバリング
ホバリング中 GNSS 受信機能を無効にすると、機体周辺の気流の影響で水平位置が不安定となるためエレベーター操作及びエルロン操作により水平位置を安定させホバリング飛行を維持させる。

7) GNSSを使用しない着陸
上述の操作によりホバリングを安定させながら、スロットル操作により機体を降下させ着陸させる。
機体を垂直降下させる時に発生する「ボルテックス・リング・ステート」や、「地面効果」を抑制するために、細かくエレベーター又はエルロン操作などを行いながら、機体を着地させ着陸を完了させる。

(4) カテゴリーⅢ飛行において追加で必要となる離着陸の注意点〔一等〕

カテゴリーⅢ飛行は立入管理措置を講ずることなく行うものであるため、その飛行形態に応じたリスク評価において、離着陸に関して考慮する注意点の例としては以下のとおり。
・ 離着陸に際しては、機体と人が接触するなど第三者の安全が損なわれるおそれがないようにする。
・ 離着陸時ローターから発せられる風の影響を受け、物などが飛ばされないようにする。
・ 近接する壁面や構造物により、離着陸時に機体が不安定になるような環境は離着陸エリアから除外する。
・ 離着陸エリア上空周辺に電線などの障害物がない、又は回避できる空域を選ぶ。

5.2.2 手動操縦及び自動操縦

(1) 手動操縦・自動操縦の特徴とメリット

1) 無人航空機の操縦方法(自動操縦と手動操縦)
無人航空機は優れた安定性と高い飛行性能から、人による手動操縦だけでなく、アプリケーションなどにより事前に設定した飛行経路を正確に飛行することが可能となっている。
飛行自体は自動で飛行し、機体に付属している撮影用カメラなどのみ人が操作するような複合的な操縦も行える。
空中写真測量などによる飛行では測地エリアを指定するのみで自動的に飛行経路や撮影地点をプランニングする機能も備えられている。
手動操縦は送信機のスティックにより機体の移動を命令して行う。操縦者の操縦技量によって飛行に安定性に差が生じるが、操縦技量が向上すると自動操縦では実現できない複雑で変化に対応した機体の操作が行える。

2) 手動操縦の特徴とメリット

無人航空機の安定飛行に必要な GNSS 受信機やセンサを用いた機体を、コントローラースティックで意図した方向に飛行させるが、その制御は全て人が行う。
操縦者の習熟度によって飛行高度の微調整や回転半径や航行速度の調整、遠隔地での高精度な着陸など細かな操作が行え、複雑な構造物の点検作業や耕作地の農薬散布、映画のような芸術性を要求される空撮などでは手動操縦による制御が求められる。
安定した飛行に使われている GNSS 受信機や電子コンパス、気圧センサなどが何らかの原因により機能不全に陥ったときには手動操縦による危険回避が求められる。
定められた航路を高精度に飛行をするなど、高い再現性を求められる操縦には不向きである。

3) 自動操縦の特徴とメリット

飛行を制御するアプリケーションソフトに搭載されている地図情報に、予め複数の飛行時のウエイポイント(経過点)を設定し飛行経路を作成する。
ウェイポイントは地図上の位置情報の設定だけでなく、機体の向きや高度、速度など詳細な設定が可能である。
手動操縦に比較して、再現性の高い飛行を行うことができるため、経過観察が必要とされる用地や、離島への輸送、生育状況を把握する耕作地などの飛行に利用される。

(2) 自動操縦におけるヒューマンエラーの傾向

ウェイポイント設定時、飛行経路上の障害物等の確認不足によって衝突や墜落が発生することが想定できる。
設定した飛行経路上の障害物等は事前に現地確認を行うこと。

(3) 手動操縦におけるヒューマンエラーの傾向

手動操縦は無人航空機を精細に制御できる反面、操縦経験の浅い操縦士が操作を行うと様々な要
因で意図しない方向に飛行してしまう場合がある。
これは操縦者の視線と回転翼航空機の正面方向が異なる場合に発生しやすい。さらに機体と操縦者
との距離が離れると機体付近の障害物などとの距離差が掴みにくくなり接触しやすい状況となる。
これらのリスク回避には、機体をあらゆる方向に向けても確実に意図した方向や高度に制御できる訓練や、指定された距離での着陸訓練などが有効となる。

(4) 自動操縦と手動操縦の切り替えにおける操作上の注意と対応

自動操縦中、下記のような状況下で手動操作に切り替える場合がある。
・ 作業指示による手動操作
・ 何らかの原因で不安定な飛行と判断した場合
手動操縦に切り替えた後は、急な航行速度の低下や失速に備えた操作準備や、障害物への接近を避けるための機体方向の確認、ホバリングしての機体の安定性や周囲の安全の確認などが必要となる。

(5) カテゴリーⅢ飛行において追加となる自動操縦の注意点〔一等〕

カテゴリーⅢ飛行は立入管理措置を講ずることなく行うものであるため、その飛行形態に応じたリスク評価において、自動操縦に関して考慮するべき注意点の例としては以下のとおり。
・ 可能な限り第三者の立入りが少ない飛行経路及び送電線や構造物が障害とならない飛行範囲を事前に確認し設定すること。
・ 飛行経路付近に地上の第三者を考慮した緊急着陸地点や不時着エリアを予め設定すること。
・ 鳥などの野生動物からの妨害を想定し防御や手動操縦での切り替えを速やかに行える体制を整えておくこと。

5.2.3 緊急時の対応

緊急時には、離陸地点などに戻すことを前提とせず、速やかに近くの安全な無人地帯へ不時着させる。

(1) 機体のフェールセーフ機能

送信電波や電源容量の現象などにより飛行が継続できない場合、又は継続できないことが予想される場合は、予め飛行制御アプリケーションのフェールセーフ機能により、自動帰還モードへ切り替わり、離陸地点へ飛行する。さらにバッテリー残量が極端に少ない場合などはその場で自動着陸を試みる。
フェールセーフ機能発動時、機体の動作をホバリング、その地点での着陸、自動帰還などの設定を行うことができる機体もある。
フェールセーフ機能発動中にバッテリー残量不足等の飛行が継続できない場合、又は予想される場合、機体は着陸動作に遷移し着陸を試みる。

(2) 事故発生時の運航者の行動

運航者は、事故発生時においては、直ちに無人航空機の飛行を中止するとともに、負傷者がいる場合には、第一にその負傷者の救護及び緊急通報、事故等の状況に応じた警察への通報、火災が発生している場合の消防への通報など、危険を防止するための必要な措置を講じ、次に当該事故が発生した日時及び場所等の必要事項を国土交通大臣に報告しなければならない

(3) カテゴリーⅢ飛行において追加となる緊急時対応手順〔一等〕

カテゴリーⅢ飛行は立入管理措置を講ずることなく行うものであるため、その飛行形態に応じてリスクの分析及び評価を行い、その結果に基づくリスク軽減策を講じる必要がある。
例えば、カテゴリーⅢ飛行の際に緊急対応が求められた場合に備えて、予め対応手順を設定するとともに、速やかに当該対応が実施できるよう訓練を実施することが考えられるが、その際に考慮すべき項目の例は以下のとおり。
・ GNSSによる位置の安定機能を用いない飛行訓練
・ 機体寸法に応じた緊急着陸地点の確保
・ フェールセーフ機能が動作しない飛行距離等の把握
・ 墜落時の安全優先順位の明確化
・ 機体が発火した際の消火方法
・ 緊急連絡網の作成

5.3.1 操縦者のパフォーマンスの低下

操縦者は疲労を感じても飛行を継続してしまう傾向にあるため、適切に飛行時間を管理する必要がある。
操縦者が高いストレスを抱えている状態は安全な飛行を妨げる要因となるため、操縦者との適切なコミュニケーションを運航の計画(飛行計画の作成、運航体制の構築、飛行前の準備、飛行中及び飛行後の対応等の一連の運航全般に係る計画をいう。以下同じ。)に組み込む等ストレス軽減を図る必要がある。

5.3.2 アルコール又は薬物に関する規定

前夜に飲酒した場合でも、翌日の操縦時までアルコールの影響を受けている可能性があることに注意が必要であり、アルコール検知器を活用することも有用である。

5.4.2 安全な運航のための補助者の必要性、役割及び配置

無人航空機を飛行させる操縦者は機体の動きや操縦に集中する必要があり、離着陸エリアを含めた飛行経路の管理を操縦と同時に行うことが困難であるため、飛行準備や飛行経路の安全管理、第三者の立ち入り管理などは補助者が主として行う必要がある。
補助者は、離着陸場所や飛行経路周辺の地上や空域の安全確認行うほか、飛行前の事前確認で明らかになった障害物等の対処について手順に従い作業を行う。
操縦者とのコミュニケーションは予め決められた手段を用いて行い、危険予知の警告や緊急着陸地点への誘導、着陸後の機体回収や安全点検の補助も行う。
無人航空機の飛行経路や範囲に応じ補助者の数や配置、各人の担当範囲や役割、異常運航時の対応方法も決めておく必要がある。


ここまで、「無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和5年4月13日第3版)」の中から抜粋して確認してみました。
個人の判断で色塗り・マーキングをしておりますので、公式ページから最新の教則を入手しご自身で確認を行うようお願いします。

リリー営業部長

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