【無人航空機操縦士】教則の確認
ドローン無人航空機操縦士の技能証明を受けるものは、航空機を飛行させるのに必要な法的知識が必要です。
安全な飛行ができるよう「無人航空機の飛行の安全に関する教則」令和5年4月13日第3版を読んでみることにします。
第6回も「航空法全般」です。
ここでは、ドローンを飛行させる操縦者の義務が定めてあります。
とても重要なルールなのでしっかり読んで理解しておきましょう。
実地試験の口述試験でも重要な箇所です。
(3) 無人航空機の操縦者等の義務
1) 無人航空機の操縦者が遵守する必要がある運航ルール
a. アルコール又は薬物の影響下での飛行禁止
アルコール又は薬物の影響により当該無人航空機の正常な飛行ができないおそれがある間において飛行させないこと。
「アルコール」とはアルコール飲料やアルコールを含む食べ物を指し、「薬物」とは麻薬や覚せい剤等の規制薬物に限らず、医薬品も含まれる。
アルコールによる身体への影響は、個人の体質やその日の体調により異なるため、体内に保有するアルコールが微量であっても無人航空機の正常な飛行に影響を与えるおそれがあるため、体内に保有するアルコール濃度の程度にかかわらず体内にアルコールを保有する状態では無人航空機の飛行を行ってはならない。
b. 飛行前の確認
無人航空機が飛行に支障がないことその他飛行に必要な準備が整っていることを確認した後において飛行させること。
(a) 外部点検及び作動点検による無人航空機の状況の確認
各機器の取付状況(ネジ等の脱落やゆるみ等)、
発動機・モーター等の異音の有無、
機体(プロペラ、フレーム等)の損傷や歪みの有無、
通信系統・推進系統・電源系統・自動制御系統等の作動状況などの確認が挙げられる。
(b) 無人航空機を飛行させる空域及びその周囲の状況の確認
飛行空域や周囲における航空機や他の無人航空機の飛行状況、
飛行空域や周囲の地上又は水上の人(第三者の有無)又は物件(障害物等の有無)の状況、
航空法その他の法令等の必要な手続き等の状況、
緊急用務空域・飛行自粛要請空域の該当の有無、
立入管理措置・安全確保措置等の準備状況などの確認が挙げられる。
(c) 飛行に必要な気象情報の確認
天候、風速、視程など当該無人航空機の飛行に適した天候にあるか否かを確認する。
(d) 燃料の搭載量又はバッテリーの残量の確認
(e) リモートID機能の作動状況(リモートID機能の搭載の例外となっている場合を除く。)
c. 航空機又は他の無人航空機との衝突防止
飛行前において、航行中の航空機を確認した場合には、飛行を行わないこと。
また、飛行中の他の無人航空機を確認した場合には、飛行日時、飛行経路、飛行高度等について、他の無人航空機を飛行させる者と調整を行うこと。
飛行中において、航行中の航空機を確認した場合には、地上に降下させるなど、接近又は衝突を回避するための適切な措置を取ること。
また、飛行中の他の無人航空機を確認した場合には、当該無人航空機との間に安全な間隔を確保して飛行させ、接近又は衝突のおそれがあると認められる場合には地上に降下させるなど適切な措置を取るとともに、飛行日時、飛行経路、飛行高度等について、他の無人航空機を飛行させる者と調整を行うこと。
d. 他人に迷惑を及ぼす方法での飛行禁止
飛行上の必要がないのに高調音を発し、又は急降下し、その他他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと。
「他人に迷惑を及ぼすような方法」とは、人に向かって無人航空機を急接近させることなどを指す。
e. 使用者の整備及び改造の義務
登録を受けた無人航空機の使用者は、整備及び必要に応じて改造をし、当該無人航空機が安全上の問題から登録を受けることができない無人航空機とならないように維持しなければならない。
登録記号の機体への表示も維持しなければならない。
f. 事故等の場合の措置
ア) 事故の場合の措置
次に掲げる無人航空機に関する事故が発生した場合には、当該無人航空機を飛行させる者は、直ちに当該無人航空機の飛行を中止するとともに、負傷者がいる場合にはその救護・通報、事故等の状況に応じた警察への通報、火災が発生している場合の消防への通報など、危険を防止するための必要な措置を講じなければならない。
また、当該事故が発生した日時及び場所等の必要事項を国土交通大臣に報告しなければならない。
a. 無人航空機による人の死傷又は物件の損壊
人の死傷に関しては重傷以上を対象とする。
物件の損壊に関しては第三者の所有物を対象とするが、その損傷の規模や損害額を問わず全ての損傷を対象とする。
b. 航空機との衝突又は接触
航空機又は無人航空機のいずれか又は両方に損傷が確認できるものを対象とする。
イ) 重大インシデントの報告
上記事故が発生するおそれがあると認める事態(重大インシデント)が発生した場合にあっても、国土交通大臣への報告が義務付けられている。
重大インシデントの対象としては、
・飛行中航空機との衝突又は接触のおそれがあったと認めた事態、
・重傷に至らない無人航空機による人の負傷、
・無人航空機の制御が不能となった事態
・無人航空機が発火した事態(飛行中に発生したものに限る。)が含まれる。
重症以上の人の死傷、物件の損壊は事故として報告が必要です。
重大インシデントの4つもしっかり覚えておきましょう!
2) 特定飛行をする場合に遵守する必要がある運航ルール
a. 飛行計画の通報等
無人航空機を飛行させる者は、特定飛行を行う場合には、あらかじめ、次に掲げる事項等を記載した飛行計画を国土交通大臣に通報しなければならない(あらかじめ飛行計画を通報することが困難な場合には事後の通報でも可)。
具体的には、国が提供している「ドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)」に入力することにより通報する。
a. 無人航空機の登録記号及び種類並びに型式(型式認証を受けたものに限る。)
b. 無人航空機を飛行させる者の氏名並びに技能証明書番号(技能証明を受けた者に限る。)
及び飛行の許可・承認の番号(許可・承認を受けた場合に限る。)
c. 飛行の目的、高度及び速度
d. 飛行させる飛行禁止空域及び飛行の方法
e. 出発地、目的地、目的地に到着するまでの所要時間
f. 立入管理措置の有無及びその内容
g. 損害賠償のための保険契約の有無及びその内容
無人航空機を飛行させる者は、通報した飛行計画に従って特定飛行をしなければならない。
国土交通大臣は、当該飛行計画の通報を受けた場合に安全の確保のために必要と認めるときは、特定飛行の日時又は経路の変更など必要な措置を講ずるよう指示する場合があり、当該指示を受けた場合にはその指示に従わなければならない。
ただし、安全を確保するためにやむを得ない場合はこの限りではない。
特定飛行に該当しない無人航空機の飛行を行う場合であっても、飛行計画を通報することが望ましい。
b. 飛行日誌の携行及び記載
無人航空機を飛行させる者は、特定飛行をする場合には、飛行日誌を携行(携帯)することが義務付けられる。
飛行日誌は、紙又は電子データ(システム管理を含む。)の形態を問わないが、特定飛行を行う場合には、必要に応じ速やかに参照や提示できるようにする必要がある。
特定飛行を行う者は、無人航空機に関する情報(登録記号、種類、型式、製造者・製造番号等)に加え、次に掲げる事項等を遅滞なく飛行日誌に記載しなければならない。
特定飛行に該当しない無人航空機の飛行を行う場合であっても、飛行日誌に記載することが望ましい。
a. 飛行記録
飛行の年月日、離着陸場所・時刻、飛行時間、飛行させた者の氏名、不具合及びその対応 等
b. 日常点検記録
日常点検の実施の年月日・場所、実施者の氏名、日常点検の結果 等
c. 点検整備記録
点検整備の実施の年月日・場所、実施者の氏名、点検・修理・改造・整備の内容・理由 等
3) 機体認証を受けた無人航空機を飛行させる者が遵守する必要がある運航ルール
a. 使用の条件の遵守
無人航空機の機体認証を行う場合は、無人航空機飛行規程に定めた無人航空機の安全性を確保するための限界事項等(最大離陸重量、飛行可能高度、飛行可能速度等)を「使用の条件」として指定し、使用条件等指定書として交付することとしている。
機体認証を受けた無人航空機を飛行させる者は、当該使用の条件の範囲内で特定飛行しなければならない。
b. 必要な整備の義務
機体認証を受けた無人航空機の使用者は、必要な整備をすることにより、当該無人航空機を安全基準に適合するように維持しなければならない。
具体的には、無人航空機の機体認証を行う場合に設定される無人航空機整備手順書(機体メーカーの取扱説明書等)に従って整備をすることが義務付けられる。
4) 罰則
航空法令の規定に違反した場合には、次の罰則の対象となる可能性がある
(技能証明を有する者は、罰則に加えて、技能証明の取消し等の行政処分の対象にもなる可能性がある)
これら飛行時の義務やルールに違反すると罰則があります。
特に人に対する事故や、未登録の機体の飛行、アルコール摂取は懲役または罰金です。
このようなことにならないよう、安心安全な飛行を楽しみましょう。
ここまで、「無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和5年4月13日第3版)」の中から抜粋して確認してみました。
個人の判断で色塗り・マーキングをしておりますので、公式ページから最新の教則を入手しご自身で確認を行うようお願いします。
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